塗装感のない自然な白色で「海芋かいう」のイメージを

＜華Chameleon＞というブランドは、「華」＝「花」の連想から、花のデザインで展開していこうと思いました。台北出身の私はにとっては、花といえば、真っ先に目に浮かぶのは台北近郊の「陽明山」という山に、満開のつつじと一望の海芋畑でした。恥ずかしながら、子供の時、海芋というお花は知りませんでした。こんなにも別格の花が存在するなんて、胸がいっぱいになったことを思い出します。初めての出会い以来、その上品な色と、凛としたフォルムが頭から離れなくなりました。

海芋の白っぽい色への憧れから生まれた発想で、どうしても「白」のクロコダイルの財布が作りたくなりました。白のクロコダイル革は本当に珍しく、その理由は革を鞣す際“ボロ”が目立ってしまうからだそうです。白い革を染めるのに、下手なことをすると、ただの厚塗り化粧になってしまう可能性も十分にあり得るのです。今回は関連会社の堀内貿易の協力を得られ、塗装感のない自然な白色を実現させるのに、特別に質のいい原皮を厳選することができました。

海芋のシンプルなフォルムを具現化

形にもこだわりました。海芋のシンプルなフォルムを真似したく、この薄いＬ字ウォレットにしたのです。私の考えに賛同してくれる女性が少なくないと思いますが、財布って重い、持ち歩きたくないと思うときってありますよね。女性のバッグは既にでんとしており、そのうえ、ミニバッグなみの財布を入れて持ち歩くことは私には苦痛でしかありません。今はミニマリストの時代なので、必要最小限のカード・現金・小銭だけを持ち歩くように意識している人が少なくないはず。「海芋」一つで十分です。改めて自分の持ち物を見直し、整理整頓のいいチャンスにもなります。無駄な物を持たない自分が、より身軽くシャープに振る舞えると信じております。

女性目線でディテールに工夫

薄い財布だから、バッグの残革で安く仕上げられているのではないかと思われがちですが、とんでもありません。GAUDIEとしてのこだわり〜「センター取り」〜で仕上げています。極力薄く見せたい一心から、中のコインポケットのファスナーをなくしました。高さにちょっとした工夫をすることによって、ファスナーがなくても、コインが飛び出ることなく、うまく収納可能になりました。職人さんの経験値から生まれたアイデアです。そして背面のファスナーポケットにもこだわりのワンポイントが。できるだけユーザーに満足して頂けるよう、細部まで工夫しました。シンプルに見えますが、「海芋」は掘っていけばいくほど、こだわりの結晶なんです。